(C)アミュー/集英社
画像:ジャンプSQ. 『この音とまれ!』アミューより引用
廃部の危機に瀕している高校の箏曲部を舞台にした青春漫画。個性豊かな面々と箏曲の奥深さが魅力。高校部活系漫画が好きな人に特におすすめ。
『この音とまれ!』のオススメレビュー
マニアックなジャンルの部活をテーマにした作品は今の時代珍しくないが「この音とまれ!」もそのうちの1つと言って良いだろう。「この音とまれ!」が取り扱っているテーマは箏曲である。
箏曲と聞いてすぐにピンとくる人は少ないと思うが、そのぐらいマイナーなテーマを扱っている作品で、だからこそ、読む人の知的好奇心をくすぐられる。
廃部寸前の箏曲部を救うためにどうすれば良いのか、たった1人しかいない部長の倉田武蔵が苦悩するところからまず物語は始まる。まだ最初の段階では、演奏するよりも人間ドラマのほうにスポットが当たっているが、そうしてまず人間味のある部分を最初に見せていく描き方は、とても好感が持てる。廃部寸前の箏曲部なのでもちろん、最初はすんなりといくわけがなくて、山あり谷ありの展開を、否が応でも期待させられる。
また、部長の倉田武蔵をはじめ、箏曲の天才少女で二面性がある鳳月さとわ、不良の久遠愛など、個性の豊か過ぎる面々が部に所属しているのも良い。それぞれの登場人物の個性がまったく違うから、どの個性も際立って見える。人間らしさが随所に垣間見えて、読んでいて自然と引き込まれていく感覚が心地良い。
まったくまとまりがないどころか、久遠愛にいたっては演奏できるどうかわからないところから始まるのだから、読んでいてハラハラしてしまう。「本当にこんな状態で大丈夫なの」と、心配になってしまうほど。だがその時点で、もうこの作品の虜になっていることは否定できない。箏曲の魅力にどっぷりとハマってしまうこと間違いなしである。
(7巻までのレビュー)