(C)Hajime Inoryu / Shota Ito/講談社
画像:親愛なる僕へ殺意をこめて – ヤングマガジンより引用
猟奇的殺人犯の息子である主人公は、ある日自分のここ数日間の記憶が飛んでいることに気付く。その後、自分が二重人格になっていることを悟り、周囲で起きた殺人事件について警察から話を聞かれた後、もしかしたらもう1人の自分が殺したのではないか?と疑い始める。
同時に、その事件がかつて父親が起こしたとされる事件につながっているのではないか?と感じた主人公は、父親の無実を信じて、父親が起こしたとされる過去の事件についても洗い始める。
『親愛なる僕へ殺意をこめて』のオススメレビュー
かつて発生した猟奇的殺人事件の犯人の息子が主人公となっており、主人公は父親の無実を信じていて、それを証明することに人生を懸けている。実際に父親の無実を信じられるほどのいくつかの状況が揃ってきて、ついには警察関係者の証言から、父親は無理矢理に犯人にさせられたのではないか?と、主人公は推測するのである。
父親は殺人犯ということになっているが、それは無実であり、しかも警察関係者によって仕組まれたものだとしたら、とんでもない闇を感じる。警察が裏で手をまわして、何かをもみ消そうとしているのか?誰かと手を組んでいるのか?もしくは権力者から圧力があったのか?など、正義の味方とは到底似つかない姿が想像されるのだ。
こういった部分は普通に生活していればほとんど意識しないが、警察が悪者とつながっているかもしれないということは、現実世界でもないとは言えない。それに犯人が逮捕され、解決済みになっているような事件は現実世界でも山ほどあるが、本当は別に犯人がいるんじゃないの?何らかの事情で無実の人間を無理やり犯人に仕立てたんじゃないの?という憶測がどんどん自分の中で生まれてくる感覚があった。
そんな思いを芽生えさせる漫画でもあり、日常に潜む闇を否が応でも意識させられるような、そういう雰囲気を感じられる漫画である。サスペンスとミステリーの要素を含んだ、ある意味リアリティのある作品であると言え、続きが早く読みたいと感じるような面白さがある。
(7巻までのレビュー)